緩和ケア科の理念
“地域に信頼される緩和ケア”
すべての診療科や専門職スタッフとの連携をとり、地域住民の協力を得て、がんと診断されたその時から、患者さまやご家族あらゆる心身の苦痛を和らげることにより、QOL(人生と生活の質)を改善するための支援を行います。
行動方針
1)癒しの提供 | 五感に優しい環境作りを徹底し、常に寄り添い温かく親身なケアを提供します。 |
2)人生への敬意 | 患者さまの人生に敬意を払い、その歴史の尊厳ある完結に関わるという自覚を持ちます。それと同時に、ご家族の人生への敬意を忘れずに関わります。 |
3)継続したケア | がん患者さまとそのご家族に早期から緩和ケアを提供し、また患者さまが死別した後も遺族ケアを提供します。 |
4)信条・宗教への尊重 | 信仰や宗教をはじめ、患者さまそしてご家族の心の世界を尊重します。 |
5)在宅療養・在宅の看取り | 住み慣れたご自宅を含め、患者さまご家族の意向が最大限に反映されるよう療養環境への対応を行います。 |
6)チームでの関わり | 患者さまご家族を中心に、診療科および専門職種がチームを組んでケアを提供します。 |
7)地域に開かれたサービス | 地域住民の方の利便性を高め、さらにボランティアの協力を得ながら、地域社会に貢献します。 |
組織の構成
医師、看護師、保健師、理学・作業・音楽療法士、臨床心理士、ソーシャルワーカー、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士、訪問看護師、ボランティア、宗教家など専門のスタッフが、患者さまの症状やご希望に応じて対応しています。
活動内容
1)一般病棟の回診
緩和ケア医師、専門看護師、薬剤師そして臨床心理士のチームが、週1回定期的に全ての病棟を回診します。病棟のリンクナースとの連携のもと、主治医から依頼を受けた症例を中心として、助言を与えたり実際にケアを提供したりします。各病棟のリンクナースは、対象となりそうな症例を常日頃からリストアップしておき、時期を逸さずに介入できるように努めています。
2)多職種の連携
- 在宅と緩和ケア病棟を連携して継続した栄養管理を行っています。
- 理学・作業療法士と看護師が協力しリンパドレナージを行っています。また、ご家族にグリーフケアの一環として簡易リンパマッサージを指導しています。
- 季節に応じたイベントやティーサービス、遺族会などボランティアともに開催しています。
- 歯科衛生士が在宅へ訪問しケアを行っています。特に終末期は口腔内病変の危険性が高く、歯科衛生士・看護師と協力し口腔内評価を行いながらケアを行っています。
*多職種との情報交換を行い、患者さまやご家族の方へのケアを行っています。
3)在宅での連携
- かかりつけ医との退院時カンファレンスを行い、患者さま・ご家族が安心して在宅療養に移行できるよう支援します。
- 在宅への訪問時、臨床心理士も同行し心のケアを行っています。
*患者さまやご家族の方がご自宅でも安心して療養できるようにケアを行っています。 - チーム医療を実践する上でスタッフが情報や意見交換を行う場としてカンファレンスを行っています。STASカンファレンスや多職種カンファレンス、デスカンファレンスなどを行っています。
特に緩和ケアでは身体的症状の緩和だけでなく、QOLへの配慮や心理的・社会的支援・霊的支援などが必要となります。そのため患者さまやご家族の意向に対応するためにもチーム医療がたいへん重要となります。
教育・研修
1)研究実績
- 日本緩和医療学会
- 日本死の臨床研究会
- 国保地域医療学会
- 尾三地区医療学会
- ホスピス在宅ケア研究会
- 尾三因医学会 など
2)地域における活動
- 講演活動・シンポジウムへの参加
- 広島県緩和ケア病棟連絡協議会
- 尾三地区緩和ケア研究会
- 日本ホスピス緩和ケア協会
- 尾道市エンドオブライフケア検討委員会
- 備後サイコオンコロジー研究会
- 三原市医師会緩和ケア推進チーム など
3)教育
- 看護職
ホスピス・緩和ケア看護職教育カリキュラムに準じて短期研修と継続研修を行っています。
尾三地域がん連携フォーラムなど、院外研修に取り組んでいます。 - 他の職種
定期的に勉強会を行っています。
それぞれの専門性を生かした院外研修に取り組んでいます。
運営状況
緩和ケア外来実績
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | |
新患患者数(人) | 73 | 87 | 95 | 77 | 89 |
緩和ケア病棟実績
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | |
入院数(人) | 130 | 137 | 135 | 146 | 150 |
平均年齢(歳) | 77.4 | 76.1 | 73.8 | 78.4 | 80.1 |
病床利用率(%) | 75.5 | 76.3 | 76.7 | 90.0 | 92.9 |
平均在院日数(日) | 21.3 | 19.6 | 19.7 | 22.3 | 26.4 |
自宅退院患者数(人) | 24 | 20 | 25 | 15 | 15 |
自宅退院率(%) | 31.3 | 22.1 | 26.4 | 21.4 | 18.8 |
{自宅退院率=(延退院患者数-死亡患者数)/延退院患者数}